第3回 「板橋のいっぴん 完熟アップルパイ」

 前回お話ししたとおり、40年程前に山形県寒河江でフジリンゴとの出会いは衝撃的でした。糖度計で糖度を測ってみると15度近くもある。堅さもある。酸味のバランスもよい。これならば砂糖を使わずに濃縮すればよいはずだ。このリンゴを使って日本一のアップルパイを作ってみせる!私の技術者魂に火をつけて強い闘争心をかきたてた次第です。私は東京に帰ったらさっそくリンゴの濃縮をやってみようと思い立ち、山形からリンゴを取り寄せて作業を始めることになったのですが、私がイメージしたようにはなかなかならない。なにせ加熱すると果肉が溶け出し、最後にはジャムになってしまう。食感がなくなってはアップルパイの原料としては都合が悪い。私の考えは何しろリンゴの水分を抜いて半分にしたい。そうすれば糖度が30度位まで上がる。私の欲張った考えにリンゴが答えてくれない。完熟リンゴを使用することにこだわれば尚のこと難しい。収穫してから日が経ってボケたリンゴもだめ、何とか技術的な目途が立つのに5年程かかってしまった。このような次第でアップルパイを完成させるまでには何やかやと10年近くも月日が過ぎてしまった。

 その苦労の甲斐あって、現在皆様方に親しんでいただいている完熟アップルパイが出来上がった次第です。このパイの私の更なるこだわりは冷凍及び解凍してもリンゴが離水しないことです。したがって冷凍で1~6カ月保存がきくことと、自然解凍後もパイ生地はサクサクとした食感で作り立てと同じような美味しさで、「これ、今まで冷凍してあったの!」と皆様が驚かれます。最近では海外へのおみやげとしてお買い上げくださる方もたくさんいらっしゃいます。急なお客様のためにも完熟アップルパイを常備いただけることをお薦めいたします。

マスダ塾塾長 増田嘉嗣